異業種コラボの現状
異業種コラボの現状
今回はビックロとメッツコ-ラを取り上げました。
ビックロ
家電業界とアパレル業界という異色の組合せで話題になったビックロをはじめ、業界全体を襲う不況から脱却するために異業種をパートナーに選ぶ企業が増えている。中にはお互いの文化の違いを取り入れ、今までにない新しいビジネスの形を生み出そうとする動きも見られる。
今回のビック・ユニクロの異業種コラボレーションをユニクロの柳井氏と指揮したビックカメラの宮嶋宏幸社長は、「女性がワクワクできるような店にしたい」とその狙いを語る。
と言うのも、これまでのビックの顧客は他の家電量販店と同じく男性比率が高い。これでは他店と品揃えがどうしても似通ったものとなり、価格競争に陥りやすい。そこで新たな客層を取り込むため、美容家電や子ども関連の商品を充実させて女性やファミリー層にその対象を広げ、他店との差別化を図ろうというのである。
メッツコ-ラ
今、飲料業界でトクホ製品(特定保健用食品)の発売が相次いでいます。
トクホは1991年に制度化されて21年の月日が経過し、今年の8月には登録品目が1000点を超えるなど、私達の生活には馴染みの深いものになってきています。
ただ、順調に拡大を続けてきたかに思えるトクホ市場ですが、2007年の6798億円をピークに曲がり角に差し掛かります。
2008年のリーマンショックを契機に景気が急速に冷え込むと、消費者の節約志向から割高なトクホ製品は敬遠され、市場は急収縮したのです。
製品が売れなければ、当然トクホの申請も下火になってきます。
ところが、このトレンドを大きく変えたのが、キリンビバレッジのメッツコーラです。
メッツコーラは、今年の4月に発売されると、爆発的なヒットを記録します。
当初の目標であった100万ケースを発売後1週間で達成すると、その後も売れ続け、これまでコカ・コーラとペプシコーラ以外成し得なかった年間1億本という高い壁をも軽々と超えて、年間700万ケース(本数換算で1億6,800万本)を目指して今なお快進撃を続けているのです。
飲料各社がこぞって投入するトクホ製品ですが、もちろんすべてが成功するわけではありません。
やはり、売れる商品もあれば、売れない商品もあるのです。
それでは、どうすればトクホで成功を収めることができるのでしょうか?
メッツコーラの成功事例からその秘訣を浮き彫りにすれば、まずは意外なものにトクホを組み合わせるというプロダクト戦略が考えられるでしょう。
これまで、コーラは体によくないとかコーラは不健康というイメージが一般的でしたが、コーラにトクホを組み合わせることによりコーラを飲みながら健康になるという、これまでの常識を覆すインパクトを与えれば、多くの消費者の興味を喚起することができます。
また、プライス戦略も成功を収めるためには重要な鍵を握ります。
いくら健康にいいといっても、まだまだ日本は不況の真っ只中にあり、生活で使えるお金はどんどん減っています。
第一次トクホブームの終焉が、その高い価格設定にあったことを考えれば、“低価格”というキーワードは無視することはできないでしょう。
実際にメッツコーラは、480mlで150円とコカ・コーラと比べて税抜きの定価で10円ほどの違いしかありません。
わずか10円の違いであれば、健康にいいものを選ぶ人も多いのではないでしょうか。
これまで選択の基準がおいしいという感性志向の業界に健康にいいという機能志向を取り入れてブルーオーシャンを切り開いてきたトクホ製品ですが、これからは多くの企業が新たなトクホ製品を投入してレッドオーシャン化が進んでいくことは確実です。
今後も“センミツ”の厳しい世界で生き残っていくためには、トクホだけでは差別化は益々難しくなることを考えれば、飲料各社には引き続き新たな切り口が求められることになりそうです。